名人位交代 森内名人に

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名人位が交代した。

私は、アマの少年時代から、奨励会員の頃も含め、
今までに何度も名人位の交代を見てきたが、取るほうがようやく取ったというような雰囲気も、取られたほうがものすごく大きなものを失ったというふうにも、今回はあまり感じなかった。

きっと、内容のこと、戦法や戦術、時間の使い方や、どこまでが読み筋なのだろうかといった、将棋の中味のことの興味のほうが大きいせいだろうと思う。

夕方より連盟にて、脇八段、阿部七段、増田四段、
本日対局だった畠山鎮六段、山粼五段、本間五段等と、(ほかにも棋士多数)
研究したり、隣で研究しているのを眺めたり…。

「丸山名人の指し手が早い」
消費時間の少なさを不思議という声が多かった。
私の考えでは、選択肢が分かれていて、個性を発揮することのできる局面というのが、極端に少ない一局だったと思う。
四局の中でも特にそういうイメージが強かった。
消費時間を少なくして、終盤戦に時間を残しているのではなくて、時間を使っても結局はその指し手に落ち着くといった、流れに乗せられてしまっていたような印象が強い。
▲8六角と早く出て持久戦をめざすという指しかた、名人の勝利に終わっていたのならば、ますます流行するかもしれなかったが、これで少し減るかもしれない。

中盤の終わりごろから終盤にかけて、形勢に差が生じたと言われていたころからずうっと、

居飛車の作戦がまずかったのか」
「それともその後の駒組みや、戦いかたがまずかったのか」
ということを、考えているのだが、
(できれば対局者の感想が週刊将棋毎日新聞やその他にで出るまでに、考えをまとめてみたい)
いまだにはっきりしない。たぶん前者のような気がするがもう少し考えてみたい。

森内新名人の 第四局での指しまわしは、駒組みから、少し気づきにくい金打ちの投了図まで、新名人位に就くにふさわしいとても素晴らしい内容だった。
Copyright (c) 2002 Kenji Kanzaki