第32回将棋の日のために閉鎖される将棋博物館

関西将棋会館HPに
将棋博物館閉館のお知らせが出る。
明確な閉鎖の理由も、閉鎖に関する責任者の名前も出ていない。

東館長によると、閉館を急ぐ理由は、今年11月の「将棋の日」の行事に支障が出るためらしい。

棋士総会でもうしばらく話し合ってから議決すべきことだと私は考えている。
急ぐ前に、もう少し所蔵品の扱いかたや活かしかたについて考えるとか、閉鎖ではなくて縮小する方向を検討してはどうかとか、ずいぶんと何度も進言させていただいたが、全く聞き入れられず。

棋士総会に諮らずに、先輩棋士から寄贈されたり大橋家から残された数々の品の所有を放棄して、博物館の閉鎖を決めた館長と理事と会長の責任は重い。

11月17日の「将棋の日」という日が、元々どういう日なのか?
江戸時代、将棋好きだった八代将軍徳川吉宗が毎年11月17日に「御城将棋」として年に1回の御前対局を開いたことから、日本将棋連盟が昭和50年にこの日を『将棋の日』と制定。
江戸城で御城将棋が指されたという歴史的背景により「将棋の日」が定められたはず。われわれがふだん対局する対局室も江戸城御黒書院を模して作られている。

それなのに、その行事の邪魔となるために、急いで四階のガラスケースを壊してスペースを作る必要があると東博物館館長は関西の各棋士に説明。

お城将棋に関する数々の古文書等が、吉宗将軍の時代から約300年後に、日本将棋連盟から所有を放棄されるということは皮肉であると同時に、とても残念なことでならない。「将棋」を文化として認めて、御城将棋を毎年開いた徳川吉宗八代将軍にもとても申し訳ない気持でいっぱいである。

<img src=http://k2rokudan.cool.ne.jp/img/061027.jpg>

<木村義雄十四世名人より寄贈された徳川家葵紋入りの蒔絵細工の盤>

借金取りに追われているわけでもないのに、将棋の日の行事のためという説明による全面閉鎖は、全くの本末転倒だと思う。        【22時 記】

Copyright (C) 2006 Kenji Kanzaki<A Href=http://wakayama.cool.ne.jp/k2rokudan/ Target=_blank>HPはこちら</A>