中将棋全集は中将棋界の将棋大観

昨日は、岡野伸さんも東京から観戦に見えられていた。

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岡野さんとも、対局終了後お話をする機会に恵まれた。2010年3月初版の
中将棋の記録(二)を頂戴した。
昨日はゆっくりと読むヒマもなかったが、今朝から目を通す。
目玉というか内容に驚いたのは、中将棋全集の棋譜紹介があったこと。

昨日も書いたが、松田正一先生は、数人の奨励会員への中将棋の指導に何度か師匠の灘道場へと来られていた。
「今、中将棋の定跡となる本を少しずつ書いていて今は獅子二(将棋に例えれば角落ちぐらいのハンディの駒落の手合)を書いています。何しろ量も多いので、一日に少しずつに分けて、双方を持って最善を尽くして指したらどうなるかをゆっくりと考えながら書いていて、もう何年もかけて書いている途中です。」
たぶん、上記のようなことをおっしやっていたと記憶している。

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私が所持していたプラ駒と、当時道場に松田先生が持参されて恐らく師匠の灘が買って道場に常備されていた思い出のある盤で、初めて中将棋全集第11巻の棋譜を並べてみた。
岡野さん(松田先生)の掲載方法は序盤10手ぐらいずつの図面、中終盤も20手ずつに図面があってとてもわかりやすい。

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内容をみて、恐らくこのゲームの駒組みを極めて指すと、このような指し方が理想となるのではないかというような内容に驚いた。
たぶん、昨日指した中田七段がこの定跡書を読んでも同感だろうと思う。
隙を作らず、自分の駒が自分の駒をジャマしないように、そして自然にきれいに駒が流れるように適材適所へとさばかれてゆく。

写真の最後の図は途中図だが、強力な獅子でもこのように追えば小駒と角だけで追い返すことができるという良い例で、昨日はこのような模範となる手筋を公開対局では、見せることが少なかったのが少し残念。

木村義雄名人は駒落の「将棋大観」という名著を棋界に残されたが、松田正一先生は、中将棋界の「将棋大観」に匹敵するようなものを残されていた。
京都府立図書館や、京都府資料館などの限られた場所でしか見ることができないのは、惜しいような気がする。
Copyright (C) 2010 Kenji Kanzaki