棋聖戦第5局 「金の位置の保留」

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産経新聞社主催第73期棋聖戦第5局。
▲佐藤王将(挑戦者)ー△郷田棋聖
「産経将棋WEB」
http://www.sankei.co.jp/edit/shogi/shogi.html
今回は、比較的普通な角換わり
私が注目したのは駒組みの途中の図の局面。
<img src=http://k2rokudan.cool.ne.jp/img/49.gif>

▲4九の金の保留。
佐藤王将は、谷川九段や、丸山九段の角換わりを何度も堂々と受けてたっていろいろな対策を今までにも出しているが、その後手番の時も△6一の金の移動を遅らせて先攻したり、飛車を4二にまわってみたりすることが多かったような気がする。

また2年前の名人戦七番勝負でも、丸山九段の金を4九に置いたままで、6五の位取りに対して▲4五銀とぶつける指し方をされて、佐藤王将は苦しめられている。

本譜の郷田棋聖の指し手は△7四歩。
だが、たとえば△4四歩には、▲4八飛から、▲4五歩と仕掛ける手がもしかしたら成立するかもしれない。
▲4八飛に△6五歩には、▲4五歩△6四角▲3八金△4五歩▲同銀△同銀▲同飛…。
(この変化で▲3八金と上がれるのは、金保留の効果)

以下の棋聖の駒組みも比較的昔の穏やかな角換わり対策。
もう先手が仕掛けている局面なのだが序盤のこういう細かいところの順番と、これからの進行は見逃せない。(11時30分記)

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その後△7五歩まで進行。
△4二金右の形には、▲2八に角を打って先手が指せるというのは、角換わり腰掛け銀研究(島八段著の労作)の最初の項にも載っている定跡。
だが、私も、多くの棋士も、知ってはいても指したことはない。
▲4五歩△同歩▲3五歩という有名な先後同型に比べて今までにも、指されることがとても少なかった。

もしかしたら郷田棋聖は、飛車先を突かない角換わりという戦法そのものに、挑戦してみているのかもしれない。(12時10分追記)

Copyright (c) 2002 Kenji Kanzaki