好敵手

282710
日曜の朝の駅までの道。
ある小さな喫茶店の窓から、二人の老人が向かい合ってすわっている姿。
ふたりとも少し下を向いて、せっせと手を動かしはじめたみたい。

ほかのことならば、何しているのかは判らない。
でも、その角度と表情を見たらふたりが始めようとしていることが予想できる。
もしかして、たぶんあれだろうなぁ。

ふたりとも、これから始まる戦いに、心をワクワクさせているかのよう。

さりげなくそっと窓から中を覗いて見る。

やっぱり。
ツゲの駒、携帯用の布盤。

きっと好敵手なのに違いない。
Copyright (c) 2002 Kenji Kanzaki