上海からの来客

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そのかたは、少年をふたり連れていた。
「こちらが棋士室と言って…」と案内の職員に説明されている途中だったが
私にはすぐに、そのかたがどなたかはわかった。
ご挨拶に行こうと立ちあがると同時に、そのかたも
「神崎先生ですか?」
初めてお会いするのだが、名前を知っていてくれたとは、嬉しいこと。

そのかたの名前は許建東(kyo kan to)さん
日本将棋連盟上海支部長としてよりも
上海市将棋学校校長としてのほうが有名で、現地に指導に訪れたほかの棋士等にいろいろとお話は聞いていたので、すぐにそのかただとわかった。
「大阪へは初めてですか?」
「3年ぐらい前にも1度…」
明後日の阪田三吉杯将棋大会に、堺市より招待されていて来られているようだ。

ちょうど並べていた棋譜が投了図で以下が捨て駒を含む9手詰みだったので
「ここからの詰みはわかるかな?」
とふたりの少年たちに聞いてみた。
でも彼らは、日本語はわからないみたいで、許さんが通訳してあげてくれた。
少し経って、そのうちのひとりが、角を捨てる詰みを発見。
言葉は通じなくても駒を動かしてくれるので、終わりまで読みきっていることは
すぐわかる。
「これがすぐわかるのなら、大会でもなかなかのセンいけますよ。」

その後もふたりの少年は別室で、奨励会員や、棋士の指導を受けたり、棋士の出題する詰将棋を解いたりしていたみたいだ。
日曜の大会には、たまたま私も審判団のひとりとして、おじゃまするので
どれくらい彼らが指せるか、とても興味深い。

名人戦第4局の封じ手予想→ ▲6六銀です。
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