駒をしまう姿

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少年のころ記録係をしていて、不思議だったことがひとつある。
感想戦終了後、対局者のふたりは、どちらも駒を片付けない。
盤上に出したまま、帰ってしまうことが多かった。
(ふーーん。棋士になると偉いんだから、駒も片付けないんだなぁ〜)
片付ける棋士も時々いるが、片付けないままで、記録係が片付けるということを何度もした。
それは、タイトル戦の記録係をした時にも、見られた風景だった。
二段ぐらいの時、いつも片付けているのを見るので、聞きやすい南現九段(当時は六、七段)に聞いてみた。
「自分が上座に座っている時は片付けるようにする。下座に座っている時は、上座の棋士の様子を見る」というような返事だったと思う。

現在、自分が棋士になって…。
周囲にも、片付けるという風景が昔に比べてものすごく増えてきた。
自分の対局の時には、座っている場所にかかわらず、もちろん片付けるようにしている。

場所を変えて棋士室…。
研究したり練習将棋を指したあとの駒を片付けない棋士がごくまれにいる。
缶ジュースや、簡易式ホットコーヒーの飲んだ後のゴミを捨てない棋士奨励会員となるとかなりの数になる。
ほかにも、使ったものを元に戻すことができない人々は世の中にはたくさんいる。

名人戦第1局1日目。あまり1日目の夕方の衛星放送をゆっくりと見たことは少なかったのだけれども、本日は放映時間を教えていただいたこともあり、ゆっくりと見た。

封じ手が終わり、当然のように駒を数えて片付ける丸山名人の映像。
あと片付けのできない一部の人々には、ぜひともその姿を見てもらいたいと思った。
Copyright (c) 2001 Kenji Kanzaki

追加→封じ手予想は△5四歩