反対側の端歩

31007
竜王戦第六局が本日より始まった。
先手の羽生五冠の作戦は、57銀左の急戦 。
対して後手の藤井竜王は、早めの△14歩から、△12香。
これは、第六局までにも、ほかの棋士とも話していたことだが、藤井竜王の急戦対策には、玉と反対側の端歩を突くことがかなり多い 。
玉側の端歩を早く突く「藤井システム」は有名だが、反対側を突くのも他の振飛車党よりいつも早いような気がする。

直接的には,角、桂、香の動きを楽にしている。
振飛車居飛車では▲22 歩に△13 桂と逃げれるかどうかによって、形勢が入れ替わることもよくある。
間接的には、どの攻めかたで来るかの間合いをはかるという意味ももちろんあるみたいだ。
57銀左の急戦でもいろいろあって、棒銀に出るか、▲46歩 と突くか、▲46銀 と出るかによって振飛車の対応もだいぶ違う。

矢倉でも、角換わりでも、だんだんと端歩の突く時機が難しくなり、定跡も進歩してきているが、振飛車での端歩の突く時機をもっとも真剣に考えて研究しているのは、やはり藤井竜王だろう。

中学生ぐらいの時、故森安秀光九段の記録係をしていて、記録用紙に△14歩と書きながら
(え〜っもうこんなに早く端歩を突くの〜っまんなかのほうの駒組み遅れないかなぁ)
と思ったことがあった。
当時はまるで意味を理解するには程遠いぐらいの低い級だったからもっともなのだが・・。
そのだいぶ後に対局で負かされた上に、酔っ払った森安九段につばをとばされながら(笑)
「君の棋風では、今日のような指しかたをしちゃあいかん」と思いっきり説教されたことも、今となっては懐かしい。
神崎健二(c)