「松煙」と学生将棋の創設期

読売新聞朝刊を読む。選挙報道の特別輸送体制の事情もあって、少し薄めの紙面。
竜王戦深浦―丸山戦の観戦記者の小暮克洋さんは、仙台で被災された熊坂五段のようすも取材されて伝えられていた。
小さいお子さんも連れられての避難生活もとても大変だったこととは思うが、熊坂五段の無事だった話を読むことができてよかった。

阪神淡路大震災の時には、奨励会員の船越君や、朝日新聞観戦記者詰将棋作家の宇佐見正さんがとても残念なことに亡くなられた。
急に読み返してみたくなって、宇佐見正さんの追悼詰将棋作品集「松煙」(1997年発行)を久々に読み返してみる。
松煙というのは朝日新聞に観戦記を書かれた時の宇佐見さんのペンネームである。

改めて読み返してみて、宇佐見さんの大学の後輩にあたる仲野さんというかたが貴重なお話を寄稿されて残されていた。
宇佐見さんが神戸大学の将棋部を創設された話や、関西学生将棋連盟の結成にご尽力された話、昭和26年に関西学生対抗リーグを住吉にあった日本将棋連盟関西本部にて開始した話も。

また大学時代の棋譜も載っていた。、対局相手は東大の小暮得雄さん(後の北大法学部長・小暮克洋さんのお父さん)とあった。
第1回学生王座決定戦の大将戦で角換腰掛銀。対局場所は東京の原田泰夫先生のお宅だったらしい。昭和27年のとても貴重な棋譜だと思う。

ふとしたことがきっかけで、学生将棋の歴史も読むことになり、全体の紙面は薄めだったが、本日の将棋欄は私にとってはとても厚みのある内容となった。
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