上げるバーの高さは少しずつ

長年感じていること。
指導対局などで、二枚落を卒業した人に、飛車落や、飛香落で指す。
たいていの場合はあまりにも気の毒すぎる結果に終わる。
今まで何十年とおこなってきたことだが、どうもこの二枚落の次の手合にいきなり角という大駒が単独で加わるということは、良くない風習だといつも感じている。
特に飛香落というのは、指し方によっては交換した角で1一の香が取れないので飛車落より損することも多い手合だ。
上手側から見て都合の良い落とし方で、落とすほうの都合によって作られたハンディであることは間違いないと思う。
左香落でも少しそういうことはあると思う。右香落がすたれて、左香落が定着したのも、落とす側にとって都合が良いからそうしたのだと、私は推理している。

走り高跳びに例えてみる。
二枚落で勝つということが、50センチの高さを跳ぶことだとする。
飛車落や飛香落で指すということは、一度に50センチから90センチにバーの高さが二倍近くも跳ね上がってしまう。

二枚落までは、八枚落ち→六枚落ち→四枚落ちと15センチ15センチ5センチとバーが少しずつ上がっていて、上達や進歩がよくわかる目盛りになっている。八枚と六枚の間に七枚というのを入れて8センチにも刻んであげやすい。

真剣に学んで強くなりたい人のためにという限定なのだが、私がこれから試みてみたい解決策はあまり誰もやっていないが実に簡単なことだ。
二枚落の卒業者には、飛車と銀を落として指す。最初は左右の銀のどちらを落とすかも下手が選ぶというのも良いかもしれない。
もちろん、上がるバーの高さを20〜25センチ程度に抑えてあげるためである。

風習や慣例よりも、実情にあった目盛りを作って、バーの高さを少しずつ上げてあげて、自信をつけながら上達していただくことは、とても大事なことなのではないかと思う。
Copyright (C) 2010 Kenji Kanzaki