安い合駒一枚の大きな差

昨日の5日はC1順位戦で小林裕六段戦。
私は後手番。相矢倉戦で後手番としては欲張った作戦を採る。
部分的には、よく見かける筋に進行。過去にほとんど同一の局面の記録係をした経験もあり、その経験が役にたつかもと甘い期待。

夜になって、双方ともに避けられない手順が10手以上続いて迎えたのが図の局面。
△4四角▲7九玉△9九角成▲6三歩成△6六歩という順で図に至っている。
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図から、▲7二と△6七歩成▲同金△6六金▲6二飛以下が読み筋の中心で難しいながらも残しているつもり。
実戦は▲7二と△6七歩成▲7五馬と進行。
▲7五馬の局面は後手玉は詰めろではなくて、先手玉には詰めろはかかる。
にもかかわらず局面は負け。
先手玉に詰めろをかけた瞬間に自陣への合駒が角金銀以外になく、その合駒を取る順でピッタリと詰まされる。
具体的には▲7五馬に△7七香には、香合がなくなったことにより▲3一銀以下詰む。
時々、歩が一枚あれば勝ちなのにという表現が使われる。
この局面などは歩一枚の合駒の有無が勝敗を分けている局面だった。
ここで決着が着いてしまった。いや、それよりは、この局面の10手以上前かそれ以前に決着は着いていたというのが正しい。

その後は▲6二飛が攻防で打たれることになり負け。

仕掛けから図の10手前ぐらいまでの局面を中心に二時間近く感想戦
実戦の進行をかなり先から読みきられていたわけではなくて、実戦以外の順では先手が悪くなることを、思い切って決断されていたようだった。
感想戦の途中でも結論が変わったり、別の手が出てきたりする。
帰宅後調べてみても感想戦で間違ったことを検討していた部分もあったようにも思う。

中途半端な経験や知識よりも、実戦を迎えた時の、中盤での正しい形勢判断と大局観。終盤の入り口(中盤の終わり)での隅々までの深い読みの量。
そのどちらも足りなかったのが敗因。
Copyright (C) 2006 Kenji Kanzaki<A Href=http://wakayama.cool.ne.jp/k2rokudan/ Target=_blank>HPはこちら</A>