長手数の一局の凝縮

毎日新聞夕刊(地域によっては朝刊の所もあるのかな?)に、昨日まで10譜に分けて掲載されていたC1順位戦の宮田五段−松尾五段戦の観戦記を読む。

何度見てもすごい熱戦だった。
毎日紙を直接購読されていないかたでも、知り合いの新聞を見せてもらうとか、図書館とかででも、棋譜を並べていただきたい一局である。
対局者がその一局のためにどんなに苦労して戦ったかは、棋譜だけでは伝わりにくい。やはり、観戦記を読んでいただきたい。また、控室の様子については将棋世界12月号の河口先生の対局日誌にも詳しく書かれている。併せて読まれることもおすすめしたい。また、インターネット速報でこの一局をご覧になられたかたにもぜひおすすめしたい。

10月11日の当日は私も田村六段や高野五段はじめ多くの棋士らが、桂の間で調べているのを見たり、感想戦を聞いたりもしていた。
その時に心配していたのは、この197手の長い将棋が、さらにいろんなん変化が次々と出てくる感想戦のスピードで(かなり速い)、メモをとっている中砂公治記者が、6譜程度の長さの観戦記で紹介できるのだろうか?…ということだった。
それでなくとも、A級以外のクラスの順位戦の夕刊観戦記欄は、文字数が少ない。

1局の長さを10譜に引き伸ばすことと、急所の局面を必ず本日終了図にすることと、要点を的確に解説することと、感想戦での対局者のセリフを入れることによって解決されていた。私の心配は無駄なことだったと思った。
感想戦でドンドンと動かす変化から必要な部分だけが、的確に取りあげられている。短歌や俳句のような凝縮の美しさのようなものさえ感じた。

中砂記者は、10年ぐらい前は、大阪の学芸部に居て、われわれが大阪で順位戦の観戦をしている時にも、大阪の順位戦の取材もされていた。A級順位戦の観戦記を書かれる前から、何年も短いスペースに順位戦観戦記を書かれてきている。
何度か読ませていただいた中砂記者の観戦記の中でも、(対局の内容のことも関係しているが)今回は屈指の内容と私は思った。
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