目の前にいるのになぁ

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ある宿泊施設。

よく眠れたので、帰る時に、
「また1か月ぐらい先に利用したのですが」
「はい。今ならほとんど空いています。だいたい一週間前からどんどんと埋まっていきます。インターネット予約すれば、割引があるのでお得ですよ」

「静かな部屋がいいので、本日と同じあたりの部屋でお願いできますか。反対側はやかましそうなので。今フロントの目の前にいるのだから、予約させてください」」
「それは、必ずしもお客様のご希望どおりになるかどうかは、保証しかねます」
「さっき、いっぱい空いているとおっしゃられたのにどうしてですか」
「いつもお客さまの、ご希望している部屋になるとは限りません」

不思議なできごとだ。
「インターネットで申し込まれた時に、お客様のご希望する部屋のご条件をネット予約の際に、備考欄に書いてください。ご希望の部屋が空いていたら、泊まることができます」

ますます謎は深まる。
「インターネットより、直接お話するほうが、意味がよく通じていいと思ったので、今予約したいのですが、だめなのでしょうか」
「現段階では、そういう部屋が空いていることは保証しかねます」
「先ほど一週間前までは空いているとおっしゃったではないですか」

こうなると千日手模様。

電話に向かって話しをしているみたいな口調が延々と続く。しゃべっている内容も電話みたいなので、少しこわかった。

インターネット予約が広まり、きっと一度利用した人も、次のときは私のように口頭で予約せずに、インターネットで予約するんだろうなぁ。

だから、このフロントのアルバイトらしき人も電話を聞くような話しかたしかできなくなっているんだろうなぁ。
勤務先の収益を確実にあげることや、目の前の客の求めていることがあまりわからずに、マニュアル通りの言葉しかしゃべれないのだろうなぁ。
でも、今私の条件どおりに部屋を提供して予約してしまうと、アルバイトとしての立場がまずくなってしまうのだろうなぁ。
はずれてるかもしれないが、そんな想像をした。

なかなかよく眠れたのになぁ。予約をあきらめた。

もし、どなたかこういう業界のところにお勤めのかたがいらっしゃれば、
この不思議な仕組みを教えてください。
フロント目の前にいるのに、一回パソコンの前で申し込んだほうが安くなるという不思議な仕組みも...

Copyright (C) 2003 Kenji Kanzaki