最近読んだ観戦記 −1−

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毎日新聞の同時掲載の名人戦第1局の観戦記第2譜を読む。
福井逸治さんは、過去にもA級順位戦の観戦記も担当されたこともあるかた。
奨励会を対象にした本も二冊出されている。

記録係のことについての記述が多い。
「…専門家の見るところ、1級の彼女の棋力は、アマチュアなら県代表クラス以上であり、全国優勝できる実力だと言う」
奨励会のことをあまり知らない読者に、奨励会1級という棋力は決して低くないということを、たとえた例だとは思うが、この「専門家」はほめすぎ。

現在のアマ棋界もレベルはドンドン上がり、三段リーグ経験者含む元奨励会員もたくさん。たとえ勝率の高い現役若手棋士がアマ棋戦に出場したとしても、全国優勝はなかなかできないと思う。

21歳で1級で、男性棋士と同じ条件での四段へは最も近い女性には違いないのだが、それでも背後には、初段になるための年齢制限がすぐうしろに迫ってきているはず。
名人戦の記録係が「奨励会時代の良い思い出」となってしまわないようにするには、男性奨励会員と同等か、またはそれ以上の多くの努力が必要だろう。

タイトル戦の記録係というのは最低でも有段者がするべき。
名人戦の記録係」という重くとてもためになる仕事を「関係者の説明では都合のつく有段者がおらず」(観戦記中の表現)という理由で全員が断ったという関西奨励会の有段者たちも、あまりにもだらしなさ過ぎる。
Copyright (c) 2002 Kenji Kanzaki