お盆休み

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高校野球の谷川さんの記事なかな良かったです」
将棋を全く知らない知り合いからそう聞かせてもらった。
これだけ大きく取り上げているのはもしかしたら、関西地区だけなのかもしれないが、昨日の朝日新聞谷川浩司さんの記事は、私が今までに見た〔スポーツ欄に出た棋士の記事〕の中では最大のスペースだった。

内容は、0-20で負けてしまった高校の校歌を聞きながら感じたことと、投了の時の心境とかを、いろいろと高校野球と将棋の対局を比べてみたりしながら語られている(記されている?)
小見出しで「棋士になって500回は頭を下げた」とある。
対戦相手はその倍近くも頭をさげさせられてはいるのだけれども(笑)

この内容にも、もちろん感心したのだが、私が驚いたのには別の理由もある。
日曜の記事なので土曜の高校野球観戦。
ということは金曜の深夜まで対局したあと翌日暑い甲子園に行ってのこの大きなスペースの原稿。
スポーツ面に棋士の話が載るということの影響力の大きさというものを考えられての行動なのだろうと思う。
やはり5時間の将棋の対局の翌日というのは、誰でも休みたいはずだから。

ほかにも日頃よりすごいと思っているのは、詰将棋の担当。
世界の詰将棋欄をハガキの選考から、最後の原稿書きまですべてひとりでされている。
あの作業というのは、一回選んだら終わりというのではないから大変。
いくら谷川さんでも自分の作った詰将棋でない以上、その何割かは不完全で後に余詰が出て選び直す作業も仕事のうちに含まれる。
手間がかかるので、よほど詰将棋の好きな棋士でないと大変。
ほかにも、いろいろな棋戦の対局はもちろん、この季節なら将棋まつり等の出演とかも重なる。

谷川さんご本人はこういうことをほかの棋士に書かれたりすることを、きっといやがられるのかもしれないが、
最近の対局の時の感想戦の時の疲れた表情が少し思い出されて
記事ひとつ読むにしても、いろいろと別のことも心配に。

世間では、地位や実績のある人が、夏は別荘等でゆっくりと休暇を取るということもあるだろうが、
将棋界では、それが逆で、棋士の多くは私も含めて、比較的対局が少ないことが多くのんびりと休むことができる。
別荘は無理だけど(笑) でも時間的にはゆとりが多い。
世間がお盆休みになり、ふとそんなことをいろいろと思った。
Copyright (c) 2001 Kenji Kanzaki