弟弟子

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一枚のハガキがきた。転居通知みたいだ。
都内の社宅 から、公団への引越しだそうだ。
差出し人は、元弟弟子。
私の次に師匠に弟子いりした、一歳違い・・・。
残念ながら、棋士になることはできず、退会したのだが、その後浪人して、勉強し
東京の赤い門の大学へ・・。
卒業後、立派な企業に就職。3年ぐらい前に結婚。

師匠の灘は、生前
「たとえ棋士になれなくとも、一緒に修行したことは、必ず役に立つ」
というようなことを力説していた。
現役棋士の兄弟弟子がひとりもいない私にとっては、退会後、努力に努力を重ねた弟弟子の存在は心の支えのひとつでもある。

その時の結婚式では、スピーチを依頼されていた。
自分でもよっぽど嬉しくて躁状態だったのか、ここで兄弟子の貫禄を示さねばと、ワイドショーネタまでまじえて、しゃべり続け 。笑いはとれたが、イメージを壊してしまったようだ。 (^^;; ヒヤアセ
多くの他の出席者に、棋士というもののイメージが変わったと、言われてしまった。

奨励会を去ってから、将棋に関係のある仕事をするタイプ
別の仕事をして、大会とかに出るタイプ
ほとんど将棋から遠ざかるタイプの三種類のタイプがあるが
典型的な三番目。
香落ち下手での、95歩からの端攻めや、重い攻めが得意だった 彼も、会うたびに
「また将棋が弱くなった。 また将棋が弱くなった。」
と幸せそうにぼやいている 。
神崎健二(c)