右玉から穴熊

王座戦予選で吉田四段との対局。
成績による順位戦参加をめざしているフリークラス在籍若手棋士との対局は初めてかもしれない。

こちらが後手で矢倉戦。双方ともに相手の作戦をはずそうという駆け引きが数手あったように思う。
結局先手の吉田四段は脇システムと呼ばれる▲4六角▲3七銀型。こちらは△6二玉の右玉に構える。
しかし、そのままでは先手の角ににらまれて危ない位置の玉となる事情もあり、四手かけての引越し。△2二玉と矢倉の定位置へと囲い直す。
そして戦いの起こる直前には△1一玉と穴熊に潜るという珍局。

駒組みの途中に吉田四段に二ヶ所ほど疑問手があり、戦いが始まってからは、玉の遠さも生きて望外の有利に。
だが力強い意表の受けが吉田四段の長所。まったく油断はできない。
そこからは慎重に時間をたくさん消費。確認に確認を重ねて勝ち。

隣の対局が秒読みだったこともあり芙蓉の間に移っての感想戦。40分ぐらい。
その後は、御上段の隣で対局していた王位戦の畠山鎮七段―増田五段戦の感想戦を聞く。結果は二転三転の激戦で増田五段の勝ち。
当然ながら、両者ともぼやくことしきり。
感想戦のぼやきの合間に畠山鎮七段から、
「これで増田君も六段に昇段したことやし‥‥」と、増田五段の六段への勝ち星による昇段を聞く。これもまた、珍しいことである。
増田新六段は、「負けてもまた次、その次とあることやし‥‥」と謙遜。
(五段昇段後120勝で六段昇段という規定)
隣が昇段のかかった一局だったとは知らなかった。  【9月13日 記】
Copyright (C) 2009 Kenji Kanzaki