意表の起用

ある団体競技を観戦。
そのチームのメンバー構成では最後のトーナメントらしい。

以前見た時にはレギュラー選手だった中心選手が控えにまわっていた。
すぐには気がつかなかったのだが、大きな負傷が原因の様子。
今までがずうっとチームの要となっていた存在だっただけに、最後の最後での負傷での控えはとてもくやしいことだろう。

そのチームは余裕を持って差をつけてゲーム終盤にさしかかる。
ここで、監督は意表の起用。誰が見ても試合への出場が難しい状況なのだが、その負傷状況でもっとも貢献できる作戦での起用。
激しい動きができないので、チームの戦力としてはダウンなのだが、本人が出たくて、周囲のチームメートも一緒にプレーしたくて、監督も出してあげたかったのだろう。
チームに貢献できるとあって、その負傷中の選手もはりっきってプレー。

ところが、ここでアクシデント。
負傷しているのにもかかわらず、以前と同じ激しい動きをしてしまって、その反動が来てしまって、結局控えにと引き下がる。
相手チームの選手も多くの観衆もビックリ。
負傷のことなど考えずに、習慣とか本能がそういう動きをさせたのだろう。

試合の運営や進行側からすれば、「さらに負傷がひどくなったり、進行をさまたげてはいけないので…」
ということになり、もしかしたらチームや監督やその選手は厳重注意を受けたのかもしれない。

当時者は必死だったろうと思うが、とても良い光景を見せていただいた。
小説よりも、映画よりも、現実から学ぶことは多い。

Copyright (C) 2007 Kenji Kanzaki<A Href=http://wakayama.cool.ne.jp/k2rokudan/ Target=_blank>HPはこちら</A>