玉と反対側の端歩.

数日前のA級順位戦での久保八段と谷川九段の一局は、玉を囲っている側と反対側の端歩がその一局のテーマだったような気がする。
感想戦でも、「これで端歩の顔が立てられた」とか、「端の位を二回生かされた」とかいう会話があった。
(詳しくは、毎日新聞紙での、椎名記者の観戦記をご覧下さい)

そして、本日のプロ試験の一局。
実戦には現れなかったが、先手の▲9五歩を生かした▲9六角という角打が、後手の駒組みによっては、成立するので、水面下で角を警戒した駒組みが続いていたと思う。

戦いがその端歩とはまるっきり関係なく双方の玉側で続き、一段落ついた局面。
久保八段は、▲9四歩と突いて手を渡した。
「いわゆる端歩の顔を立てた」手である。
心理的にも、とても嫌なタイミングで突いてその後も端攻めの間に、玉の近くの▲3三歩というタタキを入れるなど、右と見せて左、左と見せて右という指しまわしは、とても久保八段らしい手順と思った。

その数手後の応接で時間にも追われていた瀬川さんが応手を間違えてしまって、差がついたが、負けたとはいえ全体的には、その応接の部分以外には、疑問手が少なく、好手も多く、かなり手厚い指し方で、実力を見せた一局だったと思った。

10月初め発売の、将棋世界次号での、山岸さんによる観戦記もとても楽しみ。
Copyright (C) 2005 Kenji Kanzaki<A Href=http://wakayama.cool.ne.jp/k2rokudan/ Target=_blank>HPはこちら</A>