最終局独特の空気と人徳

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昨日のC2最終、われわれ内部の棋士の関心のひとつは
今年の武市六段はだいじょうぶか(降級点を取らずに済むか)ということだった。

「いくら何でも、今年ばかりは、最終局は勝たなければだめだろう」というのが
順位戦評論家の浦野七段と、降級争いに関しての見やすい表を作っているという長沼六段と、評論家見習いの神崎との結論であった。
ご本人が負けた時には、競争相手の四名の棋士にひとりでも勝たれると降級点がつくのだから…。

昨日の夕食休憩までの棋譜が東京からくる。
指し手は早く、東京で近藤五段と対局中の武市先生が不利。

その武市六段より少し上の成績の山本四段ー達六段戦というのも大きな一局。
負けたほうが、その次に降級点の危機が迫るという状況。
その一局の進行も早いみたいだ。

その後山本四段負け、武市六段負けという順番で情報がはいる。
そういう時は「他力」でほかの結果を待つことになる。
場所を移動する棋士(圧倒的多数)と、ほかの対局の進行を見て自分がどうなるかを見届けようという棋士(ごく少数)とに分かれる。
[詳しくは、次号の週刊将棋将棋世界等で、東京の様子はご覧下さい。]

その後降級点に関係していたすべての結果がはいり、降級点がすべて決定。

詳しくは、将棋連盟HPの表でどうぞ。
武市先生は負けたものの、ギリギリ大丈夫という結果だった。

「やっぱり、人徳だなぁ」
「やっぱり」
これは何年か前にも何度かかわされた会話だ。
ファンからも、ほかの後輩からも武市先輩は好かれる人のよい先輩なのである。

その時、東京やほかの対局の結果も知らずに(当然だが…)一局だけ最後まで残って戦われていた対局があった。

中尾四段ー藤原六段戦

藤原六段のほうが中尾四段より順位が悪く、藤原六段負けの場合には、山本四段の次に危ない位置。

どんな雰囲気で戦われているか対局の進行をのぞきにいこうかと思った。

対局を終えた棋士
「対局室に忘れ物をしたけれども、終わるまで取りに行くのはやめよう」
と話している。
他の結果を知っている人間が伝染させてしまって、万一、空気を乱したりしてもいけない。
見に行くのはやめることにした。

Copyright (C) 2003 Kenji Kanzaki
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