△2四の角

288363
2ヶ月ほど前、新人王戦の佐々木四段ー片上三段戦の観戦記を読んだ。
「この△2四角というのは、あまり見かけない手なのですが、関西の水津三段が得意としている形です。でも、そのあとの指しかたが難しくて、失敗するとすぐに作戦負けになります」というような、片上三段の局後の解説の内容が書かれていた。
片上三段は、大学に入学するまでは関西奨励会に所属していて、観戦記者へのサービスも抜群。
その一局は、片上三段がその水津流を用いたのだが、その後の佐々木四段の指しまわしもうまく、佐々木勝ち。

先手が4六に歩を突いた形で、4七に金ではなくて銀を上がらせる目的での△2四角というのはあったが、4六の歩を突かせないという角は少し珍しいなぁと、当時思った。

2月のC1順位戦。私の隣では、杉本ー中田宏戦。
中田宏さんが用いた作戦はこの早めの2四に角を上がる作戦だった。(中田勝ち)
朝日オープン準々決勝杉本ー森内戦。森内八段の作戦もこれだった。(杉本勝ち)

そして昨日。朝日オープン五番勝負第1局。杉本ー堀口一戦。
堀口一五段が用いた作戦もまたこの作戦だった。(杉本先勝)
どうして、みんな同じ作戦ばかりでくるのだろうと杉本六段はきっと思っていることだろう。

消費時間の記入されていない棋譜を並べたのだが、棋譜を見ていただけで記録係の「5、6、7、8、9」という9の声まで聞こえてきそうな終盤の攻防だった。消費時間のはいった棋譜をもう一度ゆっくりと並べてみたい。

そういえば、王将戦の最終局の佐藤さんの作戦も早めの▲8六角だった。

昔の大山ー中原戦で、中原先生の急戦と5筋位取りを警戒して、四間飛車側が69金、67銀、56歩という配置でそれに対して、△1三角▲5八飛△2四角として
角でけん制しながら、左美濃に組んで中原先生がうまく指して快勝されていた棋譜とかも思い出す。

かなり指しかたの難しい戦法とは思うが、これからも時々誰かが指して、はやるような気がする。
Copyright (c) 2002 Kenji Kanzaki