道具歴史なども含めて将棋

少し前に日本経済新聞夕刊の12月6日〜10日まで大内九段を取材して連載された「こころの玉手箱」を図書館でまとめて読む。確か読んだ日は、大内先生は新橋で竜王戦の解説会をされている日だったと記憶している。
「こころの玉手箱」はその道の大家が自分が生きてきた中での、大切なものを披露して、エピソードを語られているコーナーである。

土居市太郎−阪田三吉戦(大正6年・1917年10月)の対局に使われたとても高価な盤と駒を土居門下の大内先生が買われた話がとても印象的。写真も紙面に掲載されていた。大内先生は土居先生に「対局と研究と指導の三つをおこなうように」という教えを受けられたという。

その土居師匠の影響もあり、大内先生はとても素晴らしい盤や駒を多く購入されたり、将棋のルーツを探る海外への旅に何度も出かけられている。私も奨励会員だった頃に師匠の灘たちとのタイへの団体旅行の時に、大内先生とご一緒させていただいたことがある。

連載の中で、タイでマークルックを地元の人と指して、地元の腕自慢が大内先生のあまりの強さにムキになる話などもとても面白かった。私も中国で象棋詰将棋を出されてそれを解いて似たような経験をしたことがあったのでそれを思い出した。

「こころの玉手箱」を読んで最も印象に残ったのは大内九段の次の言葉。

<font size=5>『道具歴史なども含めて将棋』</font>

道具がなければ将棋は指せないし、ルールを作った人、多くの先人のご苦労の積み重ねによって現在の棋士という職業が成り立っている。
とても良い言葉だと思った。
Copyright (C) 2010 Kenji Kanzaki